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外壁の選び方。
種類・特徴・施工方法などを詳しく解説!

現在の新築戸建ての外壁材として主流な「サイディング」。セメントを主原料とする窯業系サイディングや金属サイディング、樹脂サイディングなどさまざまな種類があり、種類ごとに特化した特徴があります。


デザインも豊富で性能も多様なサイディングですが、建築関係者以外だとサイディングという外壁材について詳しく知らない方のほうが多いのではないでしょうか。
本記事ではサイディングについて理解を深めていただけるよう、サイディングの特徴や種類、外壁材としておすすめする理由などを詳細に解説していきます。

サイディングとは外壁材のひとつ

サイディングとは、住宅用の外壁材のこと。セメントを主原料とした窯業系サイディングやアルミやスチールなどの材料を使用した金属サイディング1,樹脂でできた樹脂サイディングなどがあります。
以前はセメントと砂と水を現場で混ぜたモルタルが多くの住宅の外壁を占めていましたが、左官職人さん不足や工期が長いことが敬遠され、現在では住宅の外壁にはサイディングを使用することが一般的になりました。


サイディングは一般的にパネル形状で、そのパネルの端はお互いがはまり合うように加工されています。そのため、施工が容易で施工期間を短く抑えられるのが特長です。


現在は国内でもっともよく使われる外壁材となっており、新築の戸建て住宅にはサイディングが90%以上が使用されています。

出典:株式会社矢野経済研究所「2020年版 外壁市場の全体像と素材別実態」
出典:日本サッシ協会「2021年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要 」

外壁材の施工方法は「湿式」と「乾式」に分けられる

外壁材の施工方法は大きく「湿式」と「乾式」の2つに分けられます。
湿式は日本の伝統的な外壁工法。漆喰やモルタルなど塗り壁材を水と混ぜて練ったものを職人技で壁に塗り上げていく工法です。
一方乾式は、大量生産されたパネルや合板などを施工現場で取り付ける工法。サイディングやALC(軽量気泡コンクリート)などがそれにあたり、一定のオペレーションで施工が可能なので、熟練の技を必要としないのが特徴です。

また、外壁の施工方法は乾式以外にも「湿式」や乾式・湿式を組み合わせた工法もあります。湿式工法とは、建築現場で材料を混ぜ合わせて製造した後、コテや刷毛を使って壁を塗り上げていく工法ですが、現場で施工するぶん、職人の技術によって仕上がりが左右されやすいという問題があります。




「乾式」であるサイディングの施工は、工場で生産されたパネル・材料などを現場で取り付けていきます。
「サイディングとは外壁材のひとつ」でも説明したように、1990年ごろまでは熟練の職人技が必要な湿式のモルタル仕上げが主流でしたが、時代の変化により施工方法も乾式へと移り変わっていきました。
サイディングという工業化製品を使用することで材料コストが下がっただけでなく、合わせて工期を短縮することが可能となり、施工費も減らすことができました。

これから外壁材を検討されている方であれば、天然素材を使用したい住宅や伝統工法で建築される住宅には湿式、コスト重視やシンプルな外観を求めるのであれば乾式がよいでしょう。
 

比較表\\\\\\\\\\\\\\

素材別の特徴

外壁材にサイディングがおすすめの理由

金属サイディングの施工例

外壁材にサイディングがおすすめな理由として、具体的に下記の点が挙げられます。

コストパフォーマンスの高さ

湿式工法と比べると職人の費用が抑えられる事、また、オペレーションが難しくないため工期が短くなる事などの点から施工期間・工事価格をトータルで加味すると他の外壁材よりも比較的コストパフォーマンスが高いといえるでしょう。
現在の住宅建築でサイディングが主流になっている理由ともいえそうです。

デザインやカラーが豊富

サイディングはデザインやカラーが豊富である点も特徴です。外壁材によって家の印象は大きく変わってきます。様々なデザイン・カラーからサイディングを選択すれば、イメージ通りの外壁に仕上げることが可能です。

扱われているサイディングのデザイン・カラーは建築会社やリフォーム会社によって異なってきますので、あらかじめ種類を確認しておきましょう。
 

耐震性・耐火性・耐水性に優れている

サイディングは種類にもよりますが、耐震性・耐火性・耐水性に優れています。従来のモルタルなどの外壁材は耐震性や耐火性、耐水性が現在のサイディングよりも劣っていました。実際に阪神淡路大震災の際に被害が拡大してしまった要因のひとつとして、外壁材の耐震性・耐火性の低さが挙げられています。
日本は地震大国ということもあり、いつ自宅が地震に見舞われるかわかりません。万が一の事態に備えて、耐震性・耐火性・耐水性に優れたサイディングを外壁材として利用することが重要になってきます。

種類やデザインが豊富

サイディングは窯業系や金属系など特性の異なる種類が多数あります。
住まいの立地や環境に合わせて種類を選択することで、外壁の劣化を防ぐことが可能です。ただし、後述するように劣化の状況に合わせてサイディングのメンテナンスが必要になってくるので、外壁の状態は小まめにチェックすることが重要です。

住まいによって素材の種類を選ぶことができる

サイディングは住宅環境によって素材の種類を選ぶことが可能です。
たとえば、海の近くに立地している場合はサビ・塩害による被害がつきものです。このため、サビにくい次世代ガルバリウム鋼板(SGL®)の外壁材を選んだり、樹脂素材などのサビない外壁材を選んだりすることが重要になってきます。


このほかにも、雪が多い地域であれば耐水性に優れた素材を選択するなど、住宅の環境に合わせて外壁素材を選択できる点がサイディングのメリットになります。

サビに強い金属サイディング、SGL®についてもっと詳しく知りたい方はこちら

工場生産・管理で品質が安定している

サイディングは工場で生産・管理されているため、品質が安定しています。
湿式工法の場合だと、現場で材料を合わせて製造するため、素材の品質に差が生じやすいです。
職人の技術によっても仕上がりに差が付くため、イメージと異なる仕上がりになってしまうケースも少なくありません。さらに近年、職人の高齢化にともない職人不足に陥っており、安定した品質でイメージ通りの外壁に仕上げられる点は、サイディングの大きなメリットでしょう。

張る施工で工期も短縮

外壁材の施工方法は「乾式」と「湿式」に分けられるの部分でも、ご説明した通り、サイディングは現場で改めて素材を作ることはありません。
すでに外壁素材が完成しているため、現場にサイディングを持っていけばすぐに施工に移れるので、湿式とくらべると工期も短縮でき作業をスムーズに進められます。

外壁リフォーム時にも方法を選べる

サイディングの種類にもよりますが、外壁のリフォーム時にリフォームの方法を選べるのもサイディングの特長です。塗り替え・張り替え・重ね張りとそれぞれの工法のメリットデメリットを理解して、選択することができます。

サイディングの種類によっては推奨されない工法もあるので、施工業者と相談しながら進めてくださいね。


外壁リフォームの基礎知識はこちら
 

サイディングの種類は大きく分けて4つ

ここで解説するサイディングの種類は下記の3つです。

  • 窯業系サイディング
  • 金属サイディング
  • 樹脂サイディング

上記以外にもうひとつ、木質サイディングという木材を使ったサイディングもあるのですが、天然素材のため劣化しやすかったり価格が高く対応できる職人が少なかったりと、どちらかというと需要は低め。
温かみがある、自然素材ならではのデザインや断熱性が優れている特徴がある一方で、防火性がほかのサイディングより低く、準防火地域など使用できない地域があります。
 

木の自然を感じるデザインを検討したい、という方には、窯業系サイディングの木目調デザインもおすすめです。
窯業系サイディングの木目柄はこちら

 
 

国内シェアが高い窯業系サイディング

窯業系サイディングは、セメントに繊維質を混ぜ合わせて板状に成形した外壁材になります。日本国内で最もシェアが高いサイディングとなっており、全国的に広く利用されています。

窯業系サイディングはシェアが高いことから、色やデザインの種類も豊富です。オーソドックスなタイルやレンガ調、木目調や石積柄など、シンプルタイプやフラットタイプなど幅広いデザインのなかから外壁材を選択できます。

軽量・断熱性が高い金属サイディング

金属サイディングは外壁材の中で断熱性が高いサイディングです。金属板と断熱材を組み合わせて作られ、断熱性が高い点に加えて、軽量で建物にかかる負担が少ないことが特長です。


スタイリッシュでシンプルなデザインが多く、モダンなデザインが好みの場合や住み心地にこだわりたい場合は金属サイディングがおすすめです。

アメリカで主流の樹脂サイディング

樹脂サイディングは、塩化ビニル樹脂と呼ばれるプラスチック素材を使って作られた外壁材です。アメリカでは約50年以上前から住宅用の外壁材として普及しています。

樹脂サイディングは塩害に強いため、海沿いの地域に家を建てる際におすすめの外壁材です。
ただし、樹脂サイディングを扱える業者はあまり多くないため、業者探しに時間がかかる可能性があります。

サイディングの期待耐用年数とメンテナンススパン

壁をサイディングにした際、維持費やメンテナンススパンが気になるところです。実際にどれくらいの費用・メンテナンスの必要があるのか確認していきましょう。

期待耐用年数は一般的に10年から30年ほど

期待耐用年数とは「メンテナンスしながら外壁を使いづつけられる年数」のこと。
この耐久年数をすぎる前に、外壁材はリフォームをする必要があります。サイディングの耐久年数は、種類によって幅があり、だいたい10年〜30年ほどです。サイディング以外の外壁材とくらべると耐久年数は長めですが、劣化の状態を見逃してメンテナンスを行わないでいると、耐久年数よりもはやく劣化が進んでしまう可能性があるので、定期的なメンテナンスを心がけましょう。

リフォームの工法や費用相場について詳しくみる
 

メンテナンススパンとメンテナンス時の費用目安

サイディングのメンテナンススパンとしては、7年〜10年ほどが目安です。サイディングを施してから7年〜10年経過したら、一度外壁の点検を行う必要があります。

一般的に下記のような症状が出てきた際は、外壁のメンテナンスをするべきタイミングとなります。

  • シーリング切れ
  • チョーキング(サイディングを手で触った際に、手に粉がつく状態)
  • ひび割れ
  • 外壁の反りや浮き

メンテナンスで必要となる工事として「ひび割れの修復」「再塗装」「反り・浮きの修復」「シーリング打ち替え」など、上記の症状を直したり、今後の劣化を予防したりするものが挙げられます。
このメンテナンスもサイディングの種類によって異なります。
症状が軽度である場合は、リフォームをせずにメンテナンスで対応することができます。ただしひび割れが大きかったり、外壁の反りが著しかったりするなど重度の状態でメンテナンスで対応できないという場合は、サイディングの交換(外壁リフォーム)が必要となります。


メンテナンスの費用目安は、だいたい30坪あたり約150万円~になります。ただし、サイディングの劣化状態によっては目安よりも費用が高くなるケースもありますのでおおよその目安としてお考えください。
 

サイディングの工法の種類と費用の相場

サイディングの工法はいくつか種類がありますが、ここでは一般的な新築時の工法と、リフォーム時の工法を解説します。
また、ここで紹介する工法はサイディングによって適用できないものもあるので、詳しくは施工業者にご相談ください。

新築|釘留め工法

下地にサイディングボードを釘で直接留める工法を「釘留め工法」といいます。費用を抑えることができる工法ですが、釘そのものの耐久性が低い点や錆、振動などによってひび割れが生じる可能性があるため注意が必要です。
 

新築|金具留め工法

金属製の金具を下地に固定し、金具にサイディングボードを引っかける工法が「金具留め工法」です。金具留め工法には2種類あり、「金具留め工法」の場合、胴縁(どうぶち)と呼ばれる木材が必要となりますが「通気金具留め工法」の場合は柱などの躯体に直接取り付けるため、胴縁は必要ありません。


釘留め工法よりも費用は高いですが、耐久性に優れています。地震などに強いので、耐久性を高めたい場合は約40万〜50万円をプラスして見込んでおきましょう。費用相場としては30坪程度の一般的な住宅の場合、約170万円ほどの費用となります。
 

リフォーム|カバー工法(重ね張り)

カバー工法は、劣化したサイディングなどを剥がさずに上から新しいサイディングを重ねて張るリフォーム工法です。一般的な外壁塗装は劣化した防水機能などを復元する意味合いであるのに対し、カバー工法は壁を重ねて厚くするため、断熱性や遮音性の向上といった付加価値を生み出します。

必要な工期は約2~3週間。費用は使用する外壁材の種類によっても異なりますが、外壁の面積1平方メートルあたり1万円前後です。これに加え、足場や付帯工事の費用として約20万〜40万円をプラスして見込んでおく必要があります。費用相場としては35坪程度の一般的な住宅の場合、150万円~200万ほどの費用となります。

ただし、窯業系サイディングはサイディング自体の重みがあり重ねると建物自体に負担がかかるため、カバー工法は推奨されないことが多いので注意が必要です。

外壁材「サイディング」のリフォーム施工事例集

金属サイディングでのリフォーム事例

金属サイディングでのリフォーム事例

費用やデザイン重視なら外壁材には
サイディングがおすすめ



住宅の壁はメンテナンスしなくていいことはありません。デザインや機能性を重視して外壁材を選びたい場合にサイディングはおすすめです。


また、サイディングの施工では人件費を削ることができ、かつ工期を短く抑えられるので、コストパフォーマンス面でも優秀な外壁材といえるでしょう。サイディングはいくつかの種類があり、種類ごとに違いがあります。将来的なメンテナンスのことも考えながら、特性を把握したうえで住宅環境に合ったものを選択することが大切です。


外壁材のひとつである「サイディング」を知って、住みよい家の建築・リフォームを進めていってくださいね。

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