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デザイン豊富な窯業系サイディング
メリット・デメリットや施工方法を解説

「窯業(ようぎょう)系サイディング」をご存じでしょうか。
窯業系サイディングとは、日本の住宅において、多く用いられている外壁材のことです。ここでは、窯業系サイディングの特徴やメリット・デメリット、そしてメンテナンス方法などについて解説します。

業者に窯業系サイディングを提案されたけれども「どういうものなのかよくわからない」といった方も多いのではないでしょうか。
また、すすめられたものの「実際の費用相場もわからない」といったケースも多々あります。

ここでは、外壁材として優れた特徴を有する「窯業系サイディング」について紹介していきます。

加えてメリットだけではなく、デメリットや費用相場などについても確認していきましょう

サイディングのシェア率No.1「窯業系サイディング」

窯業系サイディングは、セメントを主原料とした外壁材です。木材繊維とセメントなどを板状に薄く加工しており、製造工程において窯の中で高熱処理が施されることから「窯業系」と名付けられています。
日本で使われる外壁材の約8割を窯業系サイディングが占めていますが、その理由は、コストパフォーマンスが高いことにあります。
ほかの外壁材と比較しても、初期費用が安価に抑えることができ、またタイル柄や木目調、レンガ調などさまざまなデザインを選択できることも人気の理由です。
価格面やデザイン面以外にも、耐火性や耐震性にもある程度の性能を有しているため、総合力の高い外壁材といえるでしょう。



出典:株式会社矢野経済研究所「2020年版 外壁市場の全体像と素材別実態」
出典:日本サッシ協会「2021年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要 」

外壁を窯業系サイディングにするメリット

ここからは、外壁を窯業系サイディングにすることのメリットについて確認していきましょう。これらのメリットを押さえることができれば、窯業系サイディングの総合力の高さを理解できます。

 

大量生産できるので初期費用が安くできる

窯業系サイディングのコストパフォーマンスが高い理由は、大量生産ができるから。さらに複雑な施工工程がないので、職人のように属人的なパフォーマンスでなく、一定のオペレーションで施工を行うことができ、人件費といったその他のコストも抑えられるため、結果として初期費用を安く抑えることが可能となります。
 

耐火性が優れている

窯業系サイディングは「防火外壁材」とも呼ばれるほど、耐火性に優れた性能を有していることもメリットのひとつです。どの程度、火に対する耐久性があるかを示す「耐火等級」において、3級〜4級を獲得した窯業系サイディングが多く存在します。

この耐火等級3級〜4級というのは、火による熱を遮ることのできる時間の長さが約40分〜60分といったことを示しており、耐火性に優れていることが実証実験によって認められています。

デザインテクスチャーやカラーのラインナップが豊富

窯業系サイディングは、外壁材のなかでもとくに多くのデザインテクスチャーや多種多様なカラーを選べます。こういったデザインの自由度が高いといったこともメリットのひとつです。豊富なデザインバリエーションから自分の好みに合わせて選択できます。

ボードを張るだけなので施工が簡単

窯業系サイディングの施工方法はシンプルです。サイディングボードを外壁の大きさに合わせてカットし、事前に施工した下地に留め付けつけていきます。建物の骨組みに胴縁(どうぶち)とよばれる壁の下地を施工し、その胴縁にサイディングを金具や釘で取り付けていく方法が一般的です。

この胴縁をいれることで湿気などによる劣化を防ぎ、住宅の耐久性が高まります。塗り壁などと違い、職人の技術力に左右されないため、比較的短期間で施工が完了することもメリットのひとつです。

外壁を窯業系サイディングにするデメリット

総合力が高い窯業系サイディングであっても、いくつかのデメリットが存在します。ここからは、窯業系サイディングのデメリットについても確認していきましょう。

定期的にメンテナンスが必要

完全にメンテナンスが不要な外壁材はありません。
窯業系サイディングにもほかの外壁材同様、定期的にメンテナンスが必要です。
耐水性能が基材自体にはないため、ほかの外壁材よりも点検はこまめに行なう必要があります。
 

蓄熱性がある

窯業系サイディングは熱を蓄える性質、蓄熱性があり、夏などは不要な熱を逃さず溜めてしまうことがあります。
ただ、このデメリットはサイディング施工時に「通気金具留め工法」や「胴縁を用いる方法」などである程度解決ができます。
このような工法で施工すれば通気層があることで熱が遮断されるので、生活空間が外気温に影響されることはありません。
「通気金具留め工法」や「胴縁を用いる方法」を組み合わせて施工することで、このデメリットは軽減することができます。

耐水性能はないので水を含みやすい

窯業系サイディングという外壁材自体には耐水性能はなく、表面の塗装で耐水性能をまかなっています。しかし窯業系サイディングの主たる原材料であるセメントは水を含みやすい材質であるため、塗膜が剥がれると防水ができなくなり、劣化してしまいます。
また、ボードとボードの接着面のシーリング材も経年劣化によって切れることで、水を含むことがあります。そのため、窯業系サイディングは定期的な塗装やシーリング材のメンテナンスが必須となります。

サイディング自体が重く、シーリングが必要な場合も

窯業系サイディングはセメントを主原料にしているため他のサイディングよりも重量があります。
また、製品長さは3メートル程度のものが主流で、サイディングの継ぎ目にシーリング目地が必要になることがデメリットです。

しかし、現在ではメンテナンスの負荷を軽減しつつ、継ぎ目が目立たないシーリングレス工法など、さまざまな方法があるので、この点が気になる場合は一度工務店などの専門家に相談してみましょう。


 

【早見表】
窯業系サイディングと他のサイディングとの違い

サイディングには、窯業系サイディングのほかにも「金属サイディング」や「樹脂サイディング」などの種類があります。窯業系サイディングをほかの金属サイディングや樹脂サイディングと比べたときに、圧倒的に違うのは初期のコストパフォーマンスとデザインのバリエーションの多さです。日本で外壁シェアナンバーワンのサイディングのなかで、さらにナンバーワンを誇る窯業系サイディングは、初期コストやデザインなどをふまえると、総合的な点数は高いといえるでしょう。


ただし、初期コストよりもメンテナンスコストを重視する場合や、海沿いや豪雪地や寒冷地などの外壁には金属サイディングや樹脂サイディングのほうが向いていることもありますので、自分の目的にあった外壁材を選ぶようにしましょう。

出典:日本サッシ協会「2021年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要 
 

窯業系サイディングのラインナップ

金属サイディングのラインナップ

樹脂サイディングのラインナップ

窯業系サイディングがおすすめのケース

窯業系サイディングのメリットとデメリットの2つの側面を理解したところで、ここからは、窯業系サイディングがおすすめのケースを確認していきましょう。それぞれのケースは、窯業系サイディングのメリットを生かすものとなっています。

デザインにこだわりたい

窯業系サイディングはシェア率が高いこともあり、外壁材のなかでもとくにデザインの種類が豊富です。
おしゃれなタイルやレンガ柄、趣のあるストーン柄や木の質感を楽しめる木目柄、シンプルなフラット柄などさまざまな種類があり、いくつかのデザインを組み合わせることで自分だけの外壁デザインを作ることもできます。

工期を短くしたい

窯業系サイディングの施工工程は、ほかのサイディングと比較しても複雑ではないため、比較的短い期間で施工が完了します。工期を短くしたい方にも窯業系サイディングはおすすめです。

コスパ重視

窯業系サイディングは、製造過程において発生する「材料費」や施工過程において発生する「施工費」のいずれも安価に抑えることができるため、全体的な費用も抑えられます。
コストパフォーマンスを重視する場合においても、窯業系サイディングはおすすめです。


 

窯業系サイディングのメンテナンスや期待耐用年数

外壁のメンテナンスは見落としがちですが、住まいを健康に保つためにも、必ず行わなければなりません。

窯業系サイディングに防水効果はないため、張り替えや塗装などのメンテナンスは必要不可欠です。
メンテナンスのスパンや耐用年数を把握したうえでマイホームに最適な外壁材を選択しましょう。

期待耐用年数は一般的に10年から15年

窯業系サイディングの期待耐用年数は10年〜15年。
そのため10年〜15年に一度はリフォームが必要となります。
シーリング材の劣化などにより外壁の小口より水が入ってくると、塗装で防水機能をまかなっている、窯業系サイディングは傷みがはやくなります。

これを防ぐためにも、定期的に補修や塗装が必要です。
外壁材として長く使うためにも、シーリングの打ち替えなど、各メンテナンスは行う想定をしておきましょう。

メンテナンススパンとメンテナンス時の費用目安

窯業系サイディングのメンテナンススパンとしては、7年〜10年ほどが目安です。サイディングを施してから7年〜10年経過したら、一度外壁の点検を行う必要があります。


一般的に下記のような症状が出てきた際は、外壁のメンテナンスをするべきタイミングとなります。

  • シーリング切れ
  • チョーキング(サイディングを手で触った際に、手に粉がつく状態)
  • ひび割れ
  • 外壁の反りや浮き

メンテナンスで必要となる工事として「ひび割れの修復」「再塗装」「苔・藻・カビの処理」「反り・浮きの修復」「シーリング打ち替え」など、上記の症状を直したり、今後の劣化を予防したりするものが挙げられます。

このメンテナンスもサイディングの種類によって異なります。症状が軽度である場合は、リフォームをせずにメンテナンスで対応することができます。

ただし、ひび割れが大きかったり、外壁の反りが著しかったりするなど重度の状態でメンテナンスで対応できないという場合は、サイディングの交換(外壁リフォーム)が必要となります。
また、定期的に水洗いをするだけでも変わってくるので、自力でメンテナンスする際は外壁の水洗い、落ちにくい箇所はスポンジなどを使用して薄めた中性洗剤で洗いましょう。

メンテナンスの費用目安は、だいたい30坪あたり約150万円からになります。ただし、サイディングの劣化状態によっては目安よりも費用が高くなるケースもありますのでおおよその目安としてお考えください。
 

窯業系サイディングの工法の種類と費用の相場

ここからは、窯業系サイディングの新築・リフォーム各工法とその費用相場について確認していきましょう。

施工の方法によって費用やその後のメンテナンスコストが異なりますので、おおよその内容は把握しておくと安心です。
また、窯業系サイディングに関しては外壁材自体に重量があるので、さらに重ねて重量が増してしまう「カバー工法(重ね張り)」は一般的に適用できないとされています。そのため、窯業系サイディングのリフォームは上塗りか張り替えが一般的です。

新築|釘留め工法

下地にサイディングボードを釘で直接留める工法を「釘留め工法」といいます。
費用を抑えることができる工法ですが、釘そのものの耐久性が低い点やサビ、振動などによってひび割れが生じる可能性があるため注意が必要です。

新築|金具留め工法

金属製の金具を下地に固定し、その金具にサイディングボードを引っかける工法が「金具留め工法」です。
金具留め工法には2種類あり、胴縁の上に金具を留める工法と、柱などの躯体や、それに取り付けた構造用合板に金具を直接留める「通気金具留め工法」があります。釘留め工法よりも費用は高いですが、窯業系サイディングは、蓄熱性があることや、地震や振動で釘打ち部にひびが入ったりする可能性があるので、そのおそれが少ない「金具留め工法」がおすすめです。
金額としてはおよそ約40万〜50万円をプラスして見込んでおきましょう。費用相場としては30坪程度の一般的な住宅の場合、170万円ほどの費用となります。

リフォーム|張り替え

既存の外壁材を撤去して、新しい壁を張るのが張り替え工法です。既存壁の上に窯業系サイディングの重ね張りは、重量が重く推奨されないため、リフォームに採用する場合は、張り替えでの対応となります。
張り替えでは古い外壁を剥がし内部を補修する工程や撤去した建材の処分費用などが追加されるので、カバー工法にくらべると工期が長く費用も高くなります。場合によっては仮住まいが必要な場合もございます。
カバー工法と比較すると、プラス2〜4週間ほどの期間が必要があるでしょう。
追加費用は内容によって大幅に変わるので業者に直接確認する必要があります。
 

事例紹介

さまざまなデザインを選択できる窯業系サイディングの、多様なスタイルの事例をご紹介します。

3色までに抑えて、まとまりのあるコーディネートに

明るい印象で清潔感のあるホワイト

ホワイト系の外壁は、建物自体の印象を明るくし、清潔感をもたらす効果が期待できます。
また外壁周りの草木や花とも調和しやすいため、リフォームに採用すると、新築住宅のような見た目に生まれ変わることも可能です。
ただし、汚れなどが目立ちやすいため、汚れに強い塗料を選び、定期的にメンテナンスを行うことをおすすめします。

ナチュラルで洋風なレンガ調が人気なブラウン系

ブラウン系の外壁は、レンガ調を用いることで洋風な雰囲気を醸し出すことができます。
外壁にブラウン系を取り入れることで、重厚感を演出できることも特徴のひとつです。
加えて、汚れなども目立ちにくく、奇抜な印象を与えないため、周りの建物とも調和しやすくなります。

ホワイトより落ち着いた印象のベージュ系

ベージュやクリーム系の外壁は、ホワイト系の外壁よりも落ち着いた印象を与えることができます。
ベージュ系は、ホワイト系よりも汚れが目立ちにくいことに特徴があります。
またクリーム系はホワイトやベージュに類似するものの、やや黄色みが施されていることから、より明るい印象を与えることができます。

高級感もありつつ落ち着いた色合いのグレー

グレーの外壁の家

SHiZEN  オボログレー

グレー系の外壁は、最近の一番のトレンドのカラーです。汚れが目立ちにくいのはもちろんですが、幅広い色と合うことから景観を損なうことなく、おしゃれな外観になります。
グレーのフラット柄と木目の組み合わせは、スタイリッシュで明るい印象に。

デザインと初期コスパで選ぶなら
窯業系サイディングがおすすめ

コスパで選ぶなら

デザインが豊富でありながら、コストパフォーマンスも高く、総合力で評価される「窯業系サイディング」。
ほとんどの工務店が扱っているので施工業者探しも簡単にできるでしょう。ただ、豪雪地や寒冷地、海岸沿いの外壁には向かないという性質もあるので、自分の住まいに必要な性能を理解したうえで、最適な外壁材を選んでくださいね。
 

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