SHiZEN×PROJECT

【サイディング・SHiZEN対談】 ディテールとオープンソースが変えるこれからの住宅と街並みとは?

2021/05/13

【第2部】これからの日本の住宅と窓談議

こちらは対談の【第2部】の記事です。【第1部】の記事はこちらからご覧ください。
https://www.asahitostem.co.jp/shizen/project_detail.php?pj_id=3



住空間をデザイン、創出する仕事の中でも、街並みに美しく映える住宅を「数多く」生み出すビルダーと、「一軒ずつ」で生み出す建築家という2種類のプロフェッショナルがいます。
今回お招きするのは、SHiZENプロジェクトに携わっていただいたこのお二人。
圧倒的なカリスマ性を誇るデザイン系ビルダー創業者の吉安孝幸(よしやすたかゆき)さん、提案型の設計事務所を主宰しディテールとそれにかかるコストのバランス感覚に優れた若手建築家の井上玄(いのうえげん)さん、の対談を行いました。

日本の住宅デザインを「街の風景」と捉え、外壁と窓、その関係性に向き合い続けるお二人に、ここ10年で変化した「住宅外観におけるお施主様の要望」と「美しい住宅とダサい住宅の差」について、盛り上がる回となりました。



吉安孝幸(よしやすたかゆき)
建築家との協業や若手設計士の育成により、高いデザイン性のプロダクトを量産する試みを行い、創業以来10年間でおよそ1000棟の住宅を手掛ける。創業10年を節目に事業を手放して、現在は地域ビルダーのブランド化の支援などを行う一方で、住宅をスケルトンとインフィルに切り分けることで可変性のある住まい方を実現し、不動産資産の流動性の向上を目指した取り組みを行っている。



井上玄(いのうえげん)
住宅や別荘を中心に提案型の設計活動を行うと同時に、建築撮影や大学の非常勤講師などを通して建築の魅力を社会や学生たちに発信している。自分自身の移住体験や多拠点居住の魅力を発信しながら、「これからの暮らしと居の構え方」を模索し、多様化する価値観を包容する新しい建築や緩やかに繋がったまちの在り方を提案している。



―これからの住宅外観はどうなっていくと感じられていますか?

井上
 10年前は比較的デザイン住宅に住むのは、ある限られた人というイメージがあって、住宅外観も家の顔として「どうだ!」という外壁を好む方が多い印象がありました。10年経って、住宅もファッションの延長として捉えられてきていると思うのですが、今は比較的デザイン系ビルダーや建築家に頼んで家を建てる人が増えてきていますね。「ほどよい個性」がお施主様の要望なのだと感じます。また、自分だけよければいいというのではなく、街や道に対してどうかなど、全体のバランスを考える人も今後増えていくような気がしていますし、そうあってほしいと思っています。そういうものの集積が、街並み全体を作って行くのでしょうね。

―お施主様の傾向は、この10年でやはり変わってきていますか?

吉安 
一昔前は主張が激しい人が多かったですよね。そういう人たちの声を拾ってきたから化粧サイディング(街でよく見かけるタイルや石の質感を目指して柄付け・塗装されたサイディング)が発展して、豊富なデザインが生まれたのかもしれませんね。



▲対談の様子。井上玄さん(左)と吉安孝幸さん(右)

―そういう段階を経て、今はむしろ機能性などに関心が寄せられるようになったのでしょうか?

吉安 少し前だと、サイディングという選択肢しかないと思っている人が多すぎたかもしれませんよね。最近の流れとしては、サイディングそのものに対する印象というよりは、それ以外にいろいろ良いものがあるんだよとか、本来家ってこういう素材を使っていくのでは?という概念が、ここ10年で広がってきたように感じます。

―新築を建てるのに、●●調は嫌だから塗装しかなかったというお施主様も多いようで、塗装してから汚れなどで後悔しているという意見も多く聞きます。SHiZENは、お施主様にとって外壁の新しい選択肢の1つに今後なっていけると思いますか?

吉安 
そういう可能性は十分にありますね。

井上 外壁ってやっぱりメンテナンスの問題は大きいですよね。お施主様には、塗装費用よりも足場を組む方が高くなることを事前に説明すると、「メンテがかからないほうが良い」という要望はやはり多くなる。今はガルバリウムという話によくなりますが、SHiZENも有利だと思います。また一方で外観に対する要望としては、関東では狭小住宅が多いので、「プライバシーを守りたい」というのも多いですね。


SHiZENの施工イメージ

—プライバシーの話が出ましたが、外側に窓がない住宅が増えてきた印象があります。
逆に窓が多くなると、サイディングでは特にダサくなってしまうように感じるのですが・・・

井上 
サイディングだからということではなく、窓の大きさって規格で決まっているので
よく見慣れた縦横比のものが見えてしまうと、「普通だな」と残念な気持ちになるわけです。なので、全部正方形にしたり、わざと細長くしたりして、自分のデザインも加えたりします(笑)

吉安 特に北側は、水回りが集中するじゃないですか。実際の建物を見ると、小さめの窓の処理ってイケてなくて(笑)あの辺のサイズやラインを揃えるだけでも、行儀よく見えてくる気がしますね。
また南側についても、リビングには掃き出しの大きな窓をつけなければダメという、固定観念にとらわれたルールに縛られていることがあって、せっかく掃き出しの窓をつけても人通りが多く、結局ずっとカーテンを閉めているというケースも多いですよね。
そういう必要がないところに、常識がこうだからという理由だけで、付けられてきた窓が多すぎると思うのです。必要な窓だけを選んでいくと実はそんなに多くはなかったということもあったり、むしろその方が外皮性能がよかったりコストの面でも(その方が)合理的でよかったというケースも。ここ10年でそういう方向へいっている気がします。
トイレの窓も大反対なのですけどね。換気をしたところで、新鮮な空気がトイレを通って部屋に流れるわけですからね・・・


SHiZENの施工イメージ

―機能性だから仕方ないと思っていた北側の窓も、そうやって考えると整理ができそうですし、デザインもできるという話になってくるのですね。

吉安
 私の場合は、「デザイン性の高い住宅を量産する」を10年間やってきたので、その結果、そういう課題を標準化しようとやってきたという感じですね。それは考え方の1つにすぎませんが。

―ここだけの話、こういう窓の付け方をしたら絶対失敗する!というのはありますか?

井上
 どの窓がいけないというよりは、お風呂場の上部に横長の窓をつけるというのは、100人中90人くらいがやるわけで、「見られたくないけれど、換気したい」という理由なのですが、こういうのが直接的に並んでしまうと、お施主様も見飽きていて、「見飽きている=デザインしていない」というのが素人の方も感じていると思うんですよね。
そうなるとデザイン住宅にはならないのだと思います。

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この続きは【第3部】建築技をシェアするオープンソーススタイルという新しい取り組みについて へ続きます。

https://www.asahitostem.co.jp/shizen/project_detail.php?pj_id=5